No Rakugo No Life ~落語三昧~ |
口上というかまくら
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今日はアジアへ旅行した先で知った、あるいは知ってからその国へ行ったという、私の音楽の歴史に刻まれた人たちを書きなぐりたいと思います。
ずっと前に音楽バトンが回ってきたときに書けばよかったんだけど、当時は熱が冷めていて書かず後悔している。YouTubeのおかげでいきなり再燃してこんな時間に書きます。いきなり熱くなるあたりはっつあんと同じだね。 中国(香港含む)王菲(ワン・フェイ) 中国ではなかなか骨太なRockをやっていたグループがいくつもあったけど、思想統制の国ですからなんとなく懐柔されちゃって最近はロックはあまり噂を聞かない。 黒豹なんて良かったんだけどねえ。メインの人は今も中国の曇った古い家の窓ガラスの中で作ったような曲(聞けば分かる!)を作っている。 そして中華圏最大のスターといえば王菲!!彼女が凄い。 1993年だか4年にアジアNビートで「誓言」のMVを見たときからずっとファン。彼女は濃い化粧にバラードを熱く歌うばっかりだった香港の歌謡シーンに突如輝きだした巨星でした。レコード会社主導で日本のカバーばかりだった当時、CranberrisやCocteau Twins をカバーし自分の新しいスタイルと提示します。ファンに迎合するような受け身な音楽社会で、私は私、という姿勢はゴシップの種にされましたが、彼女の歌唱力、表現力がそれを黙らせました。後には自分で作詞や作曲も手がけ、ほぼ不思議なスキャットだけでアルバムを作ったり、(彼女のベストかも)彼女独自の音楽というより、ジャンルを確立していきます。 彼女の張り詰めた絹糸のような声は、ねっとりアジアン演歌調より、乾いたヨーロッパの風によく響くのです。モデルもびっくりな細い肢体とルックスと彼女の歌声だけがアジアンローカルを感じさせない何かを持っていました。凄いなーと思っていたらあれよあれよといううちに第一のスターになりました。彼女の登場の後、デビューする歌手は皆フェイに似せて歌うようになったぐらいですさいきんだと宇多田ヒカルがそんな声になってきたけど彼女の場合、単に無機質になっただけ?とも思えます。良いんですけどね。王菲はテレサテンが大好きで、全曲カバーアルバムなぞも出してますが、テレサの歌声から台湾の熱帯の空気を取り除き、北京の乾いた風を吹き込みつつ、ぐっと繊細で現代的にリニューアルさせることに成功しています。カバーって、大体が本物を越えられないのにまったく違うフィールドにつれてってくれます。 上記の黒豹のメインと結婚し女の子を産んだ後離婚、今は再婚相手との出産が済んだばかりで音楽活動が休止状態ですが、ぜひカムバックして欲しい。私は音楽しかできないって言ってたんだしね。 アジア人で一番CDを売った人だったっけ?でギネスブックにも載ってます。 台湾 伍佰(ウー・パイ) 台湾を代表するロックアーティスト。伍佰&ChinaBuleを率いて活動しています。台湾を代表するロックバンドでしょう。彼の台湾語のアルバムが凄い!!台湾ではいわゆる北京語とは別にローカルでは台湾語が使われています。だけどその言葉でロックを歌う人はまあ彼だけでしょうか?台湾語の持つ土着性とロックって合うんだなあ。ボブデュランのへなちょこ英語が妙に決まるみたいなもんですかね。激しく言い放っても、どこかやわらかく哀愁を帯びてるんですね。寂しいんだけど居心地がいいアジアの夜があります。彼の音楽は、日本のど演歌的要素が入ったりしていわゆるブリティッシュロックともアメリカロックとも違う、まさに台湾のロックです。 王菲は中国の限界を超えたところで凄いんですけど、伍佰はいろんなものを台湾語に溶け込ましてしまったところが聴きどころだと思います。もちろん彼は北京語のアルバムを出してますが、彼にとってはネイティブでないんでしょう、どこか類型的な感じで終わっているようです。台湾語のアルバムのほうが先鋭的で激しいです。激しいのに、メロディは分かりやすく心に染みます。 韓国 Seo Taiji(ソテジ) 韓国の音楽シーンは勢いがあって良いんですけど、その全ての礎を築いた男が彼です。今やたらグループで踊ってたりヒップホップ系が多いですが、皆ソテジインスパイアです。ジャニーズも入ってるけどね。 彼も1993年、アジアンビートで見て一目惚れだったんです。当時彼はシナウィという韓国では伝説のロックバンドのベーシスとを経て、ソテジワアイドルというグループを結成し韓国に旋風を巻き起こしていました。彼は彼を含め男三人でヒップホップを韓国で初めてやりました。その音楽の完成度の高さ、歌詞のやばさ、ソテジのルックスの可愛さ(韓国スターで彼の顔だけが実は普遍性を持っていると思う。知らないおばさんたちは不幸だね。)で一気にスターダムにのし上がります。彼はまったく新しかったのです。2番目のアルバムなどはずれは一曲も無し。ハードコア風からあまりに美しいバラードまで、(歌詞は結構激しくネガティブ)彼の作曲家、アレンジャーとしての才能がほとばしってます。声もキャッチーで良いんですね。 しかし彼らの影響力は凄すぎた。若者の思想をも変えてしまう勢いだったので政治的圧力にあい解散。自殺者が出るまでの騒ぎになり彼はアメリカへ去っていきました。しかし、98年についに新しいアルバムを出しました。このアルバムを聴くと狭いスタジオで幾重にも曲にアレンジをかけて練り上げて作り上げた塊を感じます。実際全ての楽器、アレンジをソテジ一人でやったらしいです。山下達郎のアルバムもあの人のこだわりてんこ盛り感を感じますが、それのハードコア版だと思ってください。彼のか細いルックスからは想像出来ない厚みとゆがみがあって面白いアルバムです。 それからの足取りは実は私も知らなくて、(タイポップへ傾倒したりしてたから)夕べYou Tubeでクリップを見まくって復習しました。イヤー久々に見たけどやっぱり彼は天才だった。楽曲へのこだわりやメッセージ性の強さの厚みはどんどん増しているのに、曲自体はとても聴きやすく覚えやすいのです。ビジュアルは変にロンゲでせっかくの可愛らしさがちょっといっちゃってる系だったりしますが、基本的には若き皇帝という風格さえ漂っています。色々見ているうちに誰かに似てるなーと感じて考えると、他界したhideに似てるんですね。そう、まさに彼のような感じ。それで調べてみると、ソテジのアルバムにはhide with Spread Beaver のメンバーが参加してるそうです。そういえば私はなぜかhide with Spread Beaverだけは好きだったんだよなあ。ピンクスパイダーなんてよく歌っちゃうよ。 2004年、彼は今までの音楽活動の集大成としてライブツアーを敢行し、そしてなぜかインドへ去っていきました。新しい音楽に出会いたいからだそうです。インド・・、何かにこだわる人はインドを目指すのはお決まりですが、韓国と言うメジャー志向しか認めないお国柄では珍しいことだったようですね。 なんでも出国したっきりだと思われていたのに、実は韓国へ戻ってきており、年内にアルバムが出るそうです。 今度はシタールが入ったりするんでしょうね。彼の曲には伝統楽器は今までほとんど入っていなかったのでどんな風に取り込まれていくのか楽しみです。 きっと彼のような人をカリスマと呼ぶんだと私は思います。 ちなみに彼はまだ34歳。 タイ LOSO(ローソー) タイでロックで有名といえばこのバンド。96年ごろ?曖昧ですまん。タイに行ったときあっちで知り合った日本人がカラオケで歌ったのを聞いたのが最初です。当時タイで長距離バスやローカルバスに乗ると、いつもノー天気で軽薄だけどなぜか聞き入ってしまうルークトゥンという、タイの演歌的な曲ばっかりが流れていました。だからタイにはそんなのしかないと思い込んでいた私に衝撃的な曲でした。実はタイの音楽シーンは動いていたのです。LOSOやFLY(解散の後再結成?)、YNot7(自然消滅)、メーウ・ジラサック(今も熱くやっている。)、タイ・タナーウット(演歌へ傾倒中?)などが、タイに新しいポップ、ロックへの道を開くべく良い曲をバンバン出していました。そのなかでsek(セーク)率いるLOSOは地方から都会へ出てきた若者代表という感じで、バイタリティと素朴さあふれるロックを展開していました。そこにはタイ人でしか表現できない独特なリズムがあって、私にはとても親しみやすいものでした。ロックという西洋の曲をやってしまうと、それに自分の言葉をどう乗せるか悩むと思うんですが、LOSOはタイ語の持つ独特のトーンを巧く曲に乗せて独自の世界を作っています。すぐ英語交じりにして結局何言ってんだかわからなくなるどこかの国とは大違いで、彼らのタイ語の言葉が強く響いてくるのです。これはタイ語を覚えるのには最適ですよ。 LOSOに限らず、ここで紹介してるアーティストは全て自分の国の言葉というものを強く意識してるのが特徴です。何が言いたいのか、何を表現したいのかはっきりしているんでしょう。そして自分の言いたいことを表現しきるにはやはり母国語にこだわるんだと思います。王菲は故郷が北京なので、北京語のアルバムしか出さないし(広東語もファンサービスで歌うけどあまり感情移入できてない。) ソテジの曲も激しく速いけど、そこには韓国語がしっかり聞き取れます。最近の、それ英語?韓国語?聞き流してるとまったく分からんのとは大違いです。 LOSOも3年前だっけな?解散して、メインのSekも音楽性を高めるため?にイギリスへ渡ります。彼は本格志向なので、ロックの本場へ行ったんだと思います。彼もやっぱり英語交じりで何人だか判らない人になってしまうのかと悲しんでいましたら、ちょくちょくタイに戻ってきてはライブをやっているそうです。昨今のタイの音楽事情はだいぶ様変わりし、Losoらが大衆化したロックはもっとポップにカラフルにアイドル化し、似たような奴らがいーっぱいいる停滞の時代に早くも突入しつつあるようです。音楽ジャンルもヒップホップ、レゲエ、ジャズなど広がりましたが、どれも今売れればいいやという、大衆に受けやすいミディアムテンポでぬるま湯状態です。 mixiの方の書き込みを見ますと、あるイベントにセークが出ると、若者がいっせいに帰ってしまい、セークが青春だった30代が凄く盛り上がるんだそうです。今まさに一気に未来へ飛ぼうというタイのバンコクには、もうLOSOは古いんでしょうか。いつ聴いても心が熱くなるんだけどなあ。 どのアーティストも好きになったきっかけは、この曲は良い!という直感だけなんですが、誰もが実は変革者だったというのが特徴です。聴いてるときはプロフィールなんてぜんぜん気にしてなかったしただ夢中で聴いてたんですが、最近勉強しなおして、気づくと皆その国の音楽の方向性を変えた人たちだったんですね。(ちょっと自画自賛入ってきた)日本人のロックだポップスだのアルバムはほとんど買いませんし、私はロックが嫌いだとさえ思っていたのですが、(ストリートスライダース、ミッシェルガンエレファントは別だった。)何か響くものを独自の曲に乗せて歌う人には、本当に国境はないんだと、言葉が分かる分からないは関係なんだと彼らが教えてくれました。それでいて、聴いていると彼らの母国の様子がとてもよく分かる気もしてきます。自分の言葉に誇りを持って歌っているからでしょう。彼らのおかげで、中国語、韓国語、タイ語みんな荒くかじりましたよ。旅行では困りません。ありがとうございます。 ヒマにあかせてこれを読んだ皆様、ぜひだまされたと思って彼らの曲を聞いてみてください。新しい世界への扉が開くかも。
by comomaru
| 2006-06-18 08:18
| いにしえの旅日記
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